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黒子「ジャッジメントですの!」花山薫「ん・・・?」  4

38 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [sage] 2009/11/18(水) 21:29:22.25 ID:4gQtblf6O Be:
銃声より時は少し遡る。黒子は傷口に最低限の処置を施し、戦線に躍り出る。
だがそこにあるのは斥力の嵐。恐らく対象のほとんどが花山に向かっているからか、影響はさほど感じられない。
しかし下手に出たところで鉄矢もまともに射出出来ないだろう。では前に飛び出して盾にでもなるか?
有り得ない。戦略的にこの場をひっくり返すには至らないだろうと分かるからだ。
ここにきてそこまで考えが回るほどには余裕は生まれている。きっとそれはあの背中に頼れるから……

「(っ、私は……)」

一瞬思い至りたくない何かを感じ、思考を閉じる。今必要なのはこの状況を打開することだ。

「(しかし、今のコンディションでは自分すらまともに飛べるかどうか)」

不安がよぎる。だが諦めるには遠い。
ますます力強くなる斥力と歩みが緩まる彼の背中。
まずい、と感じる。先程までデタラメだった銃声も今はせず、恐らく狙いを定めている。
まずい! そう感じた瞬間、彼女は前に飛び出す。その背中に向かって。
41 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [sage] 2009/11/18(水) 21:54:34.72 ID:4gQtblf6O Be:
自分への少ない影響状況下。一気に駆け抜けながら彼女は、思う。
自分を飛ばせない。
武器も飛ばせない。
きっと飛ばせない。
だというのに、何故自分はせの背中に手を伸ばすのか。
自身の限界値は130.7kg。彼を飛ばすなんて出来るはずがないのに。
それでも伸ばした手の先。力強く、大きなそれに手が触れた瞬間に伝わる熱さがある。
痛いほど。辛いほど。眩しいほどに。
自分でも分かる、自分だけの現実(パーソナルリアリティ)の拡散。
ああ、そうか。大丈夫。飛ばせる。

瞬間、重なるような銃声に、彼女は内側に向けて叫ぶ。


―― 跳べ !

44 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [sage] 2009/11/18(水) 22:00:10.14 ID:4gQtblf6O Be:
理解が及ばないままに目の前にそれはあった。
振りかぶられた拳。目の前をふさぐほどの巨体。
彼の理解とはかけ離れた現象に、一瞬の空白が生まれる。

「(こいつ、全然能力なんて使ってなか……)」

そこまで考えたところで地面へと叩きつけるように殴られ、彼の意識は途切れた。



花山自身も何が起こったかなど分からない。
ただ気がつけば殴るつもりの相手が目の前にいた。
幸い、一瞬ではあるが離れようとする力はなかったので軽く踏み込めた。
そしてただ殴りきる。それで全てが終わる。



銃声がして数秒間の出来事だった。

45 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [sage] 2009/11/18(水) 22:11:48.52 ID:5xrPJ7N80 Be:
    ∧_∧
    (0゚・∀・) ワクワク
  oノ∧つ⊂)
  (0゚(0゚・∀・) テカテカ
  ∪(0゚∪ ∪
    と__)__)

46 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [sage] 2009/11/18(水) 22:22:54.45 ID:4gQtblf6O Be:
「で、あれだけきっちり決めておきながらその大怪我ですの?」

数日前まで世話になっていた病室に花山はいた。前と違うのはそこにツインテールの少女がいることか。

「……」

「まぁ、急所に当たらなかったから良かったものの。正確には当たっているのに分厚い筋肉に阻まれていた訳ですが」

ムスッとした様子でそう言い放つ彼女。その様子は心配して損した、だとか理不尽だといった様子か。

「……何をしに?」

「見舞いですわ。私の不手際であなたに迷惑をかけた訳ですから」

「迷惑、ね」

「な、何ですの?」

「……」

47 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [sage] 2009/11/18(水) 22:23:34.57 ID:5xrPJ7N80 Be:
 +   ∧_∧      +      +
    (0゚・∀・) ドキドキ    。
  oノ∧つ⊂)     +
  ( (0゚・∀・) ワクワク     。
  oノ∧つ⊂)     +   +    。
  ( (0゚・∀・) テカテカ     。
  ∪( ∪ ∪            。
    と__)__)

48 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [sage] 2009/11/18(水) 22:25:17.44 ID:5xrPJ7N80 Be:
 +  ∧_∧
    (0゚・∀・) + ドキドキ
  oノ∧つ⊂)   ワクワク
  ( (0゚・∀・) +
  oノ∧つ⊂)    テカテカ
  ( (0゚・∀・) +
  oノ∧つ⊂)
  ( (0゚-∀-) オモイ・・・

49 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [sage] 2009/11/18(水) 22:27:00.56 ID:4gQtblf6O Be:
ふ、と一つ笑いながら。

「ダチみたいなもんだ。迷惑なんて、ないさ」

「……っ」

その自然な一言に何か動揺した様子を見せる。
しばらく何やらお姉様一筋という呟きが聞こえ続けていたが、

「すー、はー。……あなたに。花山さんに提案がありますの」

初めて名前を呼ばれ、こちらを真剣に見据える少女。
その様子に花山も真正面から応える。

50 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [sage] 2009/11/18(水) 22:31:38.06 ID:5xrPJ7N80 Be:
    + 。 *   ワクワクテカテカ  +
ツヤツヤ  ∧_∧  +
 +   _(u☆∀☆) ギトギトヌルヌル
  ⊂ (0゚ ∪ ∪。⊃ +
⊂ ゚̄ と_u _)__)゚  ̄⊃ + ワクワクキラキラ
  ⊂_。+   ゚+_⊃
    ⊂__⊃.  +  * +   ワクテカ  +

51 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [sage] 2009/11/18(水) 22:32:47.31 ID:5xrPJ7N80 Be:
      +   +
        ∧_∧  +
       (0゚・∀・)   ワクワクテカテカ
   +.   (0゚∪ ∪ +
     /ヽと__)__)_/ヽ   +
    (0゙   ・   ∀ ・ ) ワクワクテカテカ
    (0゙     ∪    ∪     +
  /ヽと____)___)_/ヽ   +   +
 ( 0゙     ・    ∀   ・  ) ワクワクデカデカ
 ( 0゙     ∪   ∪     +
 と_______)_____)

52 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [sage] 2009/11/18(水) 22:34:11.96 ID:4gQtblf6O Be:
「ジャッジメントになりませんこと?」

「……俺が?」

そのあまりの唐突な提案にさすがに聞き返す。

「はい。花山さんは力はありますが、有り余っていらっしゃるようですしね」

「……」

「勿論メリットはありましてよ。例えば……」

がさり、と彼女がかざすそれはあの日、酒がを入れていた袋。

「……。まさか」

「そのまさか、ですの」

ニヤニヤと笑う顔はどこか吹っ切れた様子。

54 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [] 2009/11/18(水) 22:47:05.86 ID:V5qFLRmC0 Be:
黒柳徹子と花山薫かとおもった俺のwktkを返してくれ

55 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [sage] 2009/11/18(水) 23:05:09.29 ID:4gQtblf6O Be:
「私達側にいてくださるなら目を瞑ることもありますのよ」

「……」

「なんて。半分冗談みたいなものですから気になさらず」

意外な表情を作る花山がおかしかったのか、黒子は小さく笑う。そして改めて彼の方を見る。

「私はいずれまたあなたに挑戦させていただきますの。その時は全力でお相手をお願いします」

そう一方的に告げる。

「……。ああ、考えておく」

その様子に何か感じるものがあったのか。
二つの意味でそう答える花山であった。

77 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [sage] 2009/11/19(木) 03:03:25.29 ID:gKbevkjvO Be:
花山は病室から眺めにここ数日の出来事を思い返す。激しく、濃密だった日々を。

「……」

拳を握り、開く。今まで自分の力を信じ、磨くことなく、ただ進んできた。
そこに後悔も迷いもなくこれからも変わらぬ生き方になるだろう。
だからこそ自分がどこまで行けるのか知りたい。そう考え続けてきた日々に応えるように現れた壁。
一つ一つが高く険しいそれが、今は心地よい。つまりはこの場所に愛着を感じ始めているのだ。

「学園、都市」

その中で様々な壁に出会う為に何かに属すのもいいかもしれない。
それが例えば自分と正反対の在りようであろうとする組織である、など。
連絡先だと置かれた紙切れを掴み、眺める。そして普段、そう使わない携帯電話に手をかけたところで……

「よう、邪魔するぜぃ」

金髪にサングラス、アロハシャツに学生服という出で立ちの男が尋ねてくる。
日の当たる道と、日の光さえ飲み込む暗黒の道。
数分後、彼が選んだものとは……



to be continued...

79 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [sage] 2009/11/19(木) 03:13:33.22 ID:gKbevkjvO Be:
「白井さん、なんだかスッキリした顔してますね」

「はい?」

事後処理を終え、こってりとしぼられ、やっとの思いでたどり着いた詰め所。
そこで自分を待っていたのか同僚の姿がある。

「いえ、なんだか最近悩んでらしたみたいですし。良かったら私に相談とか、なんて思ってんで」

「……ふぅ」

「な、なんですか! いきなりため息なんて!」

「初春に心配にされるとは本当にまいってましたのね、私」

ふっ、と嘲笑いながら。背を向ける。そして、

「……ごめんなさい。もう大丈夫ですの」

「白井、さん?」

神妙な様子の彼女に思わず声をかける。だが彼女の心配をよそに振り返った彼女の顔は……。

「ほら、待たせた分、何か奢りますのよ」

いつも以上に魅力的だった。

80 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [] 2009/11/19(木) 03:21:38.27 ID:WZxD8hFx0 Be:
恋する女は

81 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [sage] 2009/11/19(木) 03:23:19.62 ID:XJnB+mpGO Be:
綺麗さ

82 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [] 2009/11/19(木) 03:26:08.99 ID:W7CWi01AO Be:
決して

83 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [] 2009/11/19(木) 03:27:46.70 ID:XJnB+mpGO Be:
お世辞じゃないぜ

84 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [sage] 2009/11/19(木) 03:30:10.86 ID:gKbevkjvO Be:
それぞれの世界がじわりじわりと変化しつつある中、日本より遠く離れた場所では正視の歴史から変化が起ころうとしていた。

「それで? この子が噂の血の担い手なりけるのかしら?」

長い長い金色の髪を蓄えた見た目18歳ほどの少女が言葉を発する。
その髪は身長の2.5倍はあろうかというほどでそのまま宝石店で売られていてもおかしくないほどだ。
その日本語の口調が多少古文調であり、似非っぽい以外は見事なものだ。
相対する少年の隣にいるのは必要悪の教会(ネセサリウス)と呼ばれるイギリス聖教の中でも荒事に属する機関の人間だ。

「間違いないと思われます」

そう、頭を下げた隣にいる少年はふてぶてしい態度で少女を見る。

「ふぅむ。なかなか気骨ある男なりけるよな。気に入った、うちで取りけるのよ」

だがその態度を逆に是とし、同胞へと引き入れる旨を示す。だが、

「決めるのはおたくらじゃねぇ。俺なんだよ」

少年が吠えた。

85 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [sage] 2009/11/19(木) 03:36:52.19 ID:gKbevkjvO Be:
「お、おい!」

ここまで大人しかっただけに彼を連れてきた男は焦る。だがカラカラと笑いながら少女は少年に尋ねる。

「では問うとすることになりけるのよ。お前は強いのかしら?」

それは大人が子供のイタズラを諫めるような優しさすら含んだ侮蔑。
そういった空気に敏感なのか少年は無言で動く。その齢では考えられないほどの体裁きで少女に蹴りの一つでもくれてやるつもりだった。

「……はっ。まるで話にならぬのよ」

だが、気がつけば最初の一歩すら踏み出せぬまま。まるで彼だけが感じる重力が数十倍になった感覚。
ただただ言うことをきかない体に汗を滲ませ、

「お、い……何、しやが……っ!」

悪態をつくしかない。それに対して少女は、

「なるほど、なるほど。何ら対魔力の施しなくしてこの精神力。本物なりけるよな」

と一人満足そうに頷く。

86 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [sage] 2009/11/19(木) 03:51:37.10 ID:gKbevkjvO Be:
「どうだ? 力を与えるとは言わぬ。だが伸ばし方くらいならいくらでも授けられることよ」

「……それは、“あいつ”よりもか?」

「それはお前次第なりけるよな。ま、損はさせぬ」

くつくつと笑う少女にしばらく無言で返す少年だったが……

「いいさ。利用されてやるよ、あいつより強くなれるなら」

「交渉成立よな。おい、今からこいつに部屋を回してやりけるよな」

「はっ」

そうして連れられていく少年を見ながら彼女は思う。


『さて、多くの《素材》はあちらにかき集められたがこちらも“とっておき”を手に入れることができた……ふふ、まだまだ面白くなりけることよ』

くすくすと笑う魔術サイドの重鎮。彼女の手に入れた《鬼の系譜》の一つ。
それはあらゆる始まりの一つだった。



go to next chapter...

87 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [sage] 2009/11/19(木) 03:52:21.93 ID:gKbevkjvO Be:
だいたいそんな感じ。
見てくれた人はお疲れ様した。

88 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [] 2009/11/19(木) 04:05:17.05 ID:WZxD8hFx0 Be:
いやー乙!

89 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [] 2009/11/19(木) 04:28:25.63 ID:bpEs6P+Y0 Be:
                         / /        /        Y  ∧
                     / /         〃   /          Y  ハ
                       / /  /    //   /l       ノ   |,   `ヽ
                   / <\/   /: //   / ノ    /    | `'く  `ヽ
                     / ii:: \> /:: l//::\/イ  / /   :l   |   >  ハ
                 / l i::   l ∧:: | {::  / ヽ.x'/   /::l  ノ   |::  ∧
                   / 八 i:: }:.l | ヽ|∧: / イイ::    /: ノイ厂`   |::  !ハ
               / イ:: 从/:::l |  |_、」{_   | !:::  /イx=ミ    八:: リ
  ー一へ、  __, /⌒ヽ |:: {{|/`ヽ:::l   ´⌒ヾヽ 从{:: / イ::r う::ハ /::/}:/ 
          ̄`ヽ∨'-     ∨八( く从|  ///       ヽ{   辷 シ′^/::/〃
           {``     l::  \ー                    ``  /イ / 
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       ___/ヽ     从::::  | 八       ト  ___        /
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.     /     ヽ  _ ノ ∨ノ:: ノ:ノ,r‐v′`  .           .イ
     /      \  ノ ハY⌒く.  \   `  __ . <::. |
   /  `ヽ     Y __  `ヽ::::::.、   \     ∧::: /l::/ヽ|
    l       \   / r‐  `ヽ V::::::i    \  ,/ ハ /八{
   ノ        \ { !_      j:::::::|     ハーヘ  }\
  {   `     厂ゝ----   .イ::::::::|    / |O| ヽ   l`:: ..._
   \     >一'    ___..イ l:::::::::l  /   j j  ヽ  j:::::::::::`ヽ
ご苦労様、次を期待しないで待ってるわ。
まだまだ面白くなりそうだけど……つ、続きを書くと一発食らわせるわよっ!

111 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [sage] 2009/11/19(木) 18:47:13.43 ID:gKbevkjvO Be:
eoはダメな子ですから。保守がてら後で短めのとか投下しとく。
但し相変わらず投下頻度は便秘です。ビチ糞なのに。

112 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [] 2009/11/19(木) 19:01:50.40 ID:Y/5KhSU/0 Be:
お前のビチ糞はうまいビチ糞だからもっとやれ

113 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [sage] 2009/11/19(木) 19:02:41.31 ID:z0qWFbz80 Be:
俺たちスタッフがおいしく食ってやるよ

119 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [sage] 2009/11/19(木) 22:06:10.39 ID:gKbevkjvO Be:
お見舞い。その名目でそこを訪れたのは何人になるか。
花山は外に居たころにも同じように入院をしたことはあるが、こうして多様な人間が訪れた事は少ない。
その中でも多かったのは担任である彼女だ。それは性格と職業柄を鑑みれば当たり前のように感じるが、とてもありがたい事だと思う。
あの真っ直ぐな思いはどんな相手であれ動かすのだろう。いい教師だ。素直にそう思える。
だがそんな彼女より頻繁にここに訪れる人間がいた。


しょりしょり、と静かな部屋にりんごの皮を剥く音だけが響く。
そこにはベッドで静かに雑誌を読む花山とりんごを剥く一人の少女だけがいる。
時折ぺらりとページを捲る音が混じる以外は本当に静かなものだ。
あまりにも静かすぎてまるで仲が悪いのだろうかとすら考えられるが、勿論そんな事はない。

ことり、と果物ナイフを置く音がして花山はそちらに目をやる。
当然のように差し出されるのは綺麗に剥かれたりんごだ。

「新記録。すごく長い」

そう言って自慢気に細く長い皮を見せてくれるのは自分に弁当を分けてくれたあの少女だ。

122 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [sage] 2009/11/19(木) 22:19:26.47 ID:gKbevkjvO Be:
「ああ。たいしたもんだ」

日々、その長さを増していく皮に心からの賞賛を送る。

「これ。魔法の果物ナイフ。素晴らしい」

どうやら学園都市の新作らしくある程度の初心者でもうまく扱えるようにサポートされるらしい。
それが元々料理の出来る人間が扱えばより精密な作業が出来ることは言うまでもない。

「……そうか。ならお前は魔法使いか」

「そう。私は魔法使い」

そんな他愛もない会話が少しと、後は心地よい沈黙だけ。
互いに雑誌や文庫本に目を通し、思い出したように会話がある程度だ。

123 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [sage] 2009/11/19(木) 22:29:44.99 ID:gKbevkjvO Be:
「そろそろ仕事。またくる」

これが毎回別れの合図。本人曰わくここから近い位置が仕事場なのだそうだ。

「そうか」

特に引き止めることなく、送り出す。
そんな当たり前の繰り返しだった。

「……」

そうしていつもなら出ていく彼女だが、この日は珍しくその視線が何かに留まる。
追うようにそちらを見れば飲みかけのワイルドターキーだ。

「……。美味しい?」

「魔法の味だ」

「む。それは気になるの」

「今度飲みにきな」

そんな約束が大変な事件を引き込むのだが、それはまた別の話になるわけだ。



作者のレスは残念ながらここで途切れてしまっています。
作者カムバック。

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姫神がサブヒロイン…!

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