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黒子「ジャッジメントですの!」花山薫「ん・・・?」 2
306 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [sage] 2009/11/12(木) 18:03:14.39 ID:OLVWLMfCO Be:
一夜が明けた。
この都市を訪れて1週間と経っていなかった花山は、その日も宛がわれた寮へと戻っていなかった。
「はぁ、何でこう先生のところには問題児ばかりなんでしょうかー?」
そんな抜け殻の部屋を訪れる小さな影はため息をもらす。
ここ一週間近く、それこそ初日から一度もお目にかかっていない転入生。
心配ではあるが、思春期特有のあらゆるものへの反抗心からこうなってしまうのだろうかとも悩む。
そうであるならあまり関わりすぎても逆効果な時もあるだけに……。
ただそうだとしてせめて一度くらいはちゃんと話をしなければならないはずなのだが、アンチスキルへは特に報告せずともよいというお触れがあった。
勿論、そんなことは関係なく何度も要請を出しているのだがどこかでとめられているのか動いている気配はない。
先日そのことを同僚の教師から聞かされ、余計にここへと足を運ぶ頻度をあげているのだが全て空回り。
「はふぅ。特殊なご家庭の事情があるとは伺っていますけど、こうも甘えた行動ばかり許していてはいけないですよ」
彼がどんな人物であるかは一通り資料で読んでいるが、それとこれとは別。
あくまで学園都市である以上、 相手は子供であり、指導すべき生徒なのだ。
「幸い今日はお休みですからね。絶対見つけてお説教なのですよ」
ぷりぷりと一人で怒りモードへ突入しながら繁華街へ繰り出す。
その数分後に彼がそこに戻るとも知らず……。
一夜が明けた。
この都市を訪れて1週間と経っていなかった花山は、その日も宛がわれた寮へと戻っていなかった。
「はぁ、何でこう先生のところには問題児ばかりなんでしょうかー?」
そんな抜け殻の部屋を訪れる小さな影はため息をもらす。
ここ一週間近く、それこそ初日から一度もお目にかかっていない転入生。
心配ではあるが、思春期特有のあらゆるものへの反抗心からこうなってしまうのだろうかとも悩む。
そうであるならあまり関わりすぎても逆効果な時もあるだけに……。
ただそうだとしてせめて一度くらいはちゃんと話をしなければならないはずなのだが、アンチスキルへは特に報告せずともよいというお触れがあった。
勿論、そんなことは関係なく何度も要請を出しているのだがどこかでとめられているのか動いている気配はない。
先日そのことを同僚の教師から聞かされ、余計にここへと足を運ぶ頻度をあげているのだが全て空回り。
「はふぅ。特殊なご家庭の事情があるとは伺っていますけど、こうも甘えた行動ばかり許していてはいけないですよ」
彼がどんな人物であるかは一通り資料で読んでいるが、それとこれとは別。
あくまで学園都市である以上、 相手は子供であり、指導すべき生徒なのだ。
「幸い今日はお休みですからね。絶対見つけてお説教なのですよ」
ぷりぷりと一人で怒りモードへ突入しながら繁華街へ繰り出す。
その数分後に彼がそこに戻るとも知らず……。
308 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [sage] 2009/11/12(木) 18:24:23.30 ID:OLVWLMfCO Be:
この生活感のない部屋に戻るときは大体が身だしなみを整える時だけだった。身体や心を休める必要がないような日々だっただけに、それで十分。
組の運営や、余所との折衝。そして多くの繋がりに対する責任と行動。それらが自分の手の届かない場所で行われるという不安だけが、唯一の心配ではあった。
しかし結局は何も出来ないという事実のみが返ってくる。表面上、何の揺らぎも感じられない彼だがそんな弱さもあったのだ。
「……」
だが、今は少し違う。濃密な時間が先まであった。死線には遠いが、今まで知らなかった高みがあった。
それを思い出すだけで、様々なしがらみを一時ではあるが忘れられる。拳が、魂が疼くのだ。
「……学園、都市」
ここで自分はどこまで通じるのだろう。男として、雄として。彼もまた強者であるが故の衝動。
それが沸々と彼の中で渦巻いては内側から暴れていたのだ。
「……」
軽くシャワーを浴び、新たなスーツを始め彼なりの正装を整える。
さぁ、行こう。場所なんてどこでもいい。この学園都市ならば。
「……」
いや、と一つ指針を決めることにする。昨日は少ししか味わえなかった酒を満足いくまで飲む。
彼はそれだけを決めると繁華街へと足を進めるのだった。
311 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [sage] 2009/11/12(木) 18:35:24.10 ID:OLVWLMfCO Be:
朝。そう呼ぶには少し遅く、昼というには少し早い時間帯。
花山は適当に買い漁った食料を腹に納めながらいくつか考えていた。
この学園都市という場所はあまりに広く、全てを把握など出来そうもない。だがいくつか法則性は見て取れる。
要は学生達が生活の中心とするあたりは必然的に賑わいを見せ、表の通りが大きくなる。そしてそれは同時に光が増す度に大きくなる影と同じで裏を育てる。
昨日、彼が酒を手に入れたのは第六学区と呼ばれるアミューズメントが発達した区画だ。他にアテもない以上、あのあたりにもう一度足を向けることにする。
彼の近くを通る学生達はその風体と食事量からただ者ではないと分かってか、彼を避けるように歩く。
だが、そんな中。彼と一定の距離を保つ人間がいることに気付いていた人物はほとんどいなかった。
314 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [sage] 2009/11/12(木) 18:53:21.45 ID:OLVWLMfCO Be:
「はぁ……」
白井黒子は疲れていた。疲れた体に鞭をうち、昨夜の一件を報告書としてまとめ提出。更にギリギリまでデータの洗い直しをしていた為に完全に朝帰りだ。
その上で寮長からは門限に関して連絡不十分とされかなりしぼられるという責め苦を味わう。
そこに憧れのお姉様から、
『昨日はあんたも大変だったみたいね。聞いたわよ、男のとこ行ってたんだって?』
なんてトドメを刺された日にはぐぅの音も出ない。恐らく情報ソースである初春には何らかの制裁を加えることを心に決めたところで完全にダウンしていた。
「何、黒子。あんた昨日から変よ」
「……変ではありませんのよ」
「あっそ。ま、何があったか知らないけど、あんたが元気ないとこっちまで調子狂うのよね。早く復帰してよ?」
その言葉に黒子の脳内では激しく変換が行われる。
お姉様は私がいないと調子が狂う→お姉様には私が必要→お姉様は私が欲しい→お姉様は私の愛が必要!!
この間、コンマ数秒の閃きで彼女の体が消えると次の瞬間にはお姉様に飛び付いていた。
「お姉様の想い、受け取りましたわ!!」
「ちょ、な、何あんた! 演技だったわけ!? こら、離れな……さいっ!!」
バチン、とひどく痛々しい感電音がした。と、たまたま通りがかった隣室の生徒は後に語っている。
320 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [sage] 2009/11/12(木) 19:25:59.79 ID:OLVWLMfCO Be:
パチパチと未だ体に残る電流に体を震わせつつ、黒子はお姉様を見上げる。
「お、姉様、今日のご、予定、は、?」
「本当ならこの前あんたに誘われてた買い物、こっちの都合でドタキャンしたからそれの埋め合わせとか考えてたけどいらないわよね」
「!?」
ガバッと起き上がる黒子。その目には爛々と喜びの光が。
「本当ですの!?」
「まぁね。けどなんか疲れてるみたいだしまた今度に……」
「平気ですわ!」
疲れなどという概念を忘れ、嬉しさが那由多の彼方まで高まってくる。
「さぁ行きましょう! すぐ行きましょう! ああ、巡るめくパライソですわぁ!」
「や、あんた。放課後からに決まって……」
「そんなもの、愛の前には不要ですの! という訳でぶっちで満喫デートですわ!」
321 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [sage] 2009/11/12(木) 19:27:37.19 ID:OLVWLMfCO Be:
そんなるんるん気分な彼女に、当然のように、
「ほぅ、不登校か」
「ええ、当ぜ……」
「「……」」
「寮長?!」
「どうやらまだしぼられ足りなかったようだな。もう少し話をしようか」
「ひィい!?」
天罰かと言わんばかりの結果が待ち受けていた。
「じゃ、先行くから」
「お、お姉様の裏切り者ぉ~!」
こちらはこちらで平和だった。
336 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [sage] 2009/11/12(木) 21:36:23.91 ID:OLVWLMfCO Be:
「ぅ~、ここでもないですね」
何軒ものアミューズメントパークをハシゴしていた月詠小萌は疲労を隠せないでいた。昼間こそ良かったが、時刻が夕方に近付くにつれ否が応でも人は増える。
聞き込みが出来る人数こそ増えてきたのはメリットにあたるが、自分の背丈がない為か奥まで見通しがきかないのはかなりマイナスだ。
「べ、別にこれくらいはハンデにならないわけですよ! 先生まだまだ元気です!」
と、奮起した瞬間、
「きゃー、可愛いー!」
「ふぇ?」
「ねぇねぇ、一人? 一人なの?」
「迷子かなぁ。よーし、お姉さんたちに任せときなさい!」
「あ、ちょ、ちょっと! 先生は迷子じゃないですよっ。ちょ、だから話を……ふやぁぁあ?!」
こうして連れて行かれた数分後に目的の人物がそこに現れることになるなど、勿論知るはずもなかった。
338 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [sage] 2009/11/12(木) 21:49:15.08 ID:OLVWLMfCO Be:
「……」
やはり相容れない。そう感じるのは花山本人もだった。
アミューズメント施設を何軒か周り、そこにいる浮いた存在達を探してみたがどれも不良と呼ばれる程度の人間ばかりだ。
こいつらからは自分の望むものは得られない。そう見切りをつけては移動を繰り返してきたが、こうも収穫がないとさすがに辟易してくる。
特に前日のような濃密な時間のあとなら特に、だ。勿論それを表面に出す彼ではなかったが。
「おわっ」
だが集中力が途切れていたのか誰かにぶつかってしまう。
「……」
「痛て、……すみませんっした」
それだけを告げ、相手はそそくさとその場を立ち去ろうとする。が、その肩に大きな手が添えられる。
「ぁ……あら? その、何すか? もしかして気に障ったとか?」
「……」
「だったらいくらでも謝りますんで、ここは一つ穏便に……」
そう、腰の低い態度で後ずさろうとする男。しかし花山は見逃がす様子はない。
この状況になってさすがに周りもざわめきだしていた。
341 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [sage] 2009/11/12(木) 22:21:28.57 ID:OLVWLMfCO Be:
「……」
ずい、と差し出される手は明らかに何かを要求するもの。あたりを囲む人垣は恐喝の現場だと判断するや他人ごとを決め込む。
穏やかではない雰囲気に少年はだんだんと焦りだす。
「あ、あのさ! 別に何も汚したりとかじゃないはずだ……ですよね!? なのにそんな、理不尽な……っ」
少年がどんなに弁明し、詫びを入れても男は動かない。空気的にいよいよか、と思われたその時、
「ちょっとあんた」
人垣の中から一人の少女が進み出る。その姿は常盤台と呼ばれるお嬢様学校の制服に身を包んでいる。
「ここは公共の場なんだから、あんまりもめ事は持ち込まないでよね」
だが纏う空気はお嬢様というには程遠い、勝ち気なものだ。
343 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [sage] 2009/11/12(木) 22:32:47.15 ID:iQK1XXE60 Be:
支援ッッッッ
344 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [] 2009/11/12(木) 22:33:42.88 ID:OnW+EIx6O Be:
上条×美琴ktkr
347 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [] 2009/11/12(木) 22:51:54.47 ID:hr8X8UZGO Be:
これはテンションアガル
348 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [sage] 2009/11/12(木) 23:01:04.90 ID:OLVWLMfCO Be:
「おわ! ビリビリかよ!」
「ビリビリ言うな!」
二人は知り合いなのか、ギャーギャーと言い合いを始める。そんな中、一人沈黙していた花山が初めて口を開く。
「……それ、返してくれるか?」
「へ?」
ここにきて少年は初めて何かを誤解していた事に気づく。ふと見やれば自分のポケットのあたりに見覚えのない財布がある。
「あ。ああああ?! ち、違うっす違うっす! スリとかするつもりじゃなくて!」
何やら不幸なことにこんな事態になっていたようだが、彼に悪気はないことはわかる。
だからこそ、返すものさえ返してもらえれば何も起こらないはずだった。
そう、はずだった。
「ちょっとそこの。がっこも行かずカツアゲなんて札付きじゃんよ」
現れた新しい人影はジャージの下にダイナマイト級のスタイルを備えた一人の教員だった。
375 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [sage] 2009/11/13(金) 07:11:34.21 ID:yIBRuh+CO Be:
今やアミューズメント施設内における人物間で何が起きるのか予想がつかない状況。そんな煮詰まった空気を破ったのはジャージ姿の教員だ。
「とにかくさ。離してやんなって言ってんじゃんよ」
すたすたと他に目をくれず花山の元へと移動する。そこには怯えや遠慮、そして余計な感情はない。
彼女のうちにあるのは、ただただ生徒に対する指導の心だけ。
「……」
それに対する花山の態度もまた堂々としたものだった。自身に非がない以上、彼が引く必要はない。
ただ真っ直ぐに相手を見据え、その手を離すことはない。
「いい度胸してんじゃんよ。さすが新入りってとこかね。まぁガタイがいいから力は有り余ってるだろうし……」
こきり、と一つ首を鳴らすと、
「少しくらいガス抜きしてやるじゃんよ」
見事な初速で彼の足を右からの蹴りが捉えた。
(まずっ……!)
その様子を見ていた黒子は思わず目を覆いたくなる。あの相手の尋常ではない固さを思い出していたからだ。
それをあんな速度で蹴り抜けば……想像しただけで痛みがぶり返すようだ。
その場にいた誰しもが少なくとも黒子ほど実感を伴わないにしろ、同じような感覚にあった。
しかし……実際に痛みを味わったのは花山の方であった。
377 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [sage] 2009/11/13(金) 07:21:03.49 ID:yIBRuh+CO Be:
「……?」
それは不思議な感覚だった。一瞬前までは見下ろす形だった相手の姿が今は自分と同じ高さになっている。
それが自分が膝をついたのだという事実によるものだと痛みにより気づかされた時、彼の中では一気に闘志が溢れ出さんとしていた。
「もっかいだけ言うじゃんよ。その手を離……」
言葉はそこで遮られる。花山による平手打ちが彼女の体を打ったからだ。
真横に。比喩でもなんでもなく、事実として飛んだ教師はクレーンゲームの筐体に体をぶつけ、肺の中の空気を全て吐き出す結果になる。
「……なっ」
目の前で起こった暴力というには行き過ぎた事態に思わず呆然とする少年。
「な、……ちょっと、ちょっと!!」
吹き飛んだ教員を見てその元凶につかみかからんとする少女。
そして……
(やはり、こうなりましたのね)
既に臨戦態勢に入った黒子。その三人以外はこの事態に、
『きゃぁぁああー!』
一気に逃げ惑った。
392 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [] 2009/11/13(金) 13:21:05.22 ID:A+Fd9/EtO Be:
ほ
393 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [] 2009/11/13(金) 14:05:58.70 ID:t8zlNjLUO Be:
し
394 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [] 2009/11/13(金) 14:25:12.37 ID:KTzmwKkAO Be:
ゅ
395 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [] 2009/11/13(金) 14:36:39.69 ID:Qgwr65dsO Be:
で
396 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [] 2009/11/13(金) 15:13:28.39 ID:7u12c37TO Be:
す
397 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [] 2009/11/13(金) 15:25:46.20 ID:G1Of0e8VO Be:
の
399 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [sage] 2009/11/13(金) 16:02:29.61 ID:yIBRuh+CO Be:
「っ、あ~。やっぱたまってんじゃんよ。いったぁ」
様々な反応を見せる面々よりも彼は今一番差し迫った危険を全面の女に向ける。あれだけ痛打されながらもダメージを感じさせない声。
そして衝撃でフレームから外れた筐体の防犯ガラスを持ち上げ、不敵に笑うそのたち姿。
それは彼が“仕事”の折に何度か遭遇したことのある闘士達のそれに酷似していたからだ。
「……ふっ」
その中でも稀にしか出会えぬ本物。否が応でも高ぶってくる。
「先に手出ししたのはこっちだから文句はないじゃんよ。けどそれなりに指導理由はあるから……こっからじゃん?」
どんどんと高まる熱気が沸点に到達しようかというその時。対峙する間に二人の人間が滑り込む。
「待ちなさいっての!」
「誤解だ誤解! 非があるとしたらこっちにあんだよ!」
互いに背中を合わせた格好で超能力者と無能力者が介入した。
401 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [sage] 2009/11/13(金) 16:15:05.21 ID:yIBRuh+CO Be:
「ほら、これだろ! 返すから、もうやめとけって!」
多少乱暴な手つきではあったが、今回の元凶になった財布を渡す少年。しかしそれを受けとる様子はなくただ前を見据えている。
「おーおー、先生庇われちゃってんじゃんよ。まいったね、どうも」
「だから違うって! つぅかこんな高そうなのが俺の財布な訳ねぇんだし!」
「そうね。間違いないわ」
「即肯定かよ、おい」
放っておけばいつまでも続けそうな二人の間を抜け、教師は近付く。
「ってか、色々誤解があったとして、だからはいやめます。なんてタマじゃないじゃんよ、こいつは」
「……」
防犯ガラスの盾を構え、
「ガス抜き、相手してやんじゃんよ」
くい、と指で相手を招く。
瞬間、鈍い破砕音と共に再び教師の体が飛んだ。
402 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [sage] 2009/11/13(金) 16:28:15.26 ID:yIBRuh+CO Be:
がしゃん、と大きな音が鳴り、防犯ブザーが不協和音となり店内に響く。
それでも彼女はゆっくりと起き上がってくる。
「くそ、やめろっつってんだろ!?」
その様子に耐えかねたか、少年は花山に殴りかかる。それに合わせる形でカウンターの攻撃が入りかけるが、
「全く、世話をやかせないでくださいまし」
それは黒子によって突き飛ばされることにより少し離れた場所へ回避することになる。
「どわ?!」
結果、思い切りアーケードゲームの筐体に突っ込みダメージをおうことになるが。
「……あのバカ」
「それから」
無様に転ぶ少年に呆れながらバリバリと帯電する少女に、
「お姉様も一般人なのですから無理に介入なさらないでくださいな」
彼女の身を案じ、下がるよう促す。
が、勿論今時珍しい“自分より強い奴に会いに行く”なんてゲームでも滅多に見なくなった主義の少女が退くはずもない。
「はいはい。どうせ一般人よ、私は。でもこういうのって一応私向きだと思うんだけど?」
彼女の能力の応用幅を考えれば確かに頷ける話ではある。一般的な相手であるならば、だが。
404 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [sage] 2009/11/13(金) 16:41:12.19 ID:yIBRuh+CO Be:
「それは……」
確かにそうだ。だが黒子は思う。きっと彼女は何か認識がズレているのではないか、と。
仮に彼女が相手を倒すではなく、相手を殺すつもりで最初から全力ならば何ら心配はしない。
だがもし彼女がただ相手を征するだけの、格下を相手にするつもりな戦い方をするならば……。
昨日の自分を思い出し、黒子を嫌な予感が駆け巡る。
「ま、お気に入りのゲーセンをこれ以上荒らされても困るし、ね。せー、っの!」
決めたが瞬間、彼女は花山に向けて走る。その両手に大の大人が一撃で沈むほどの電流を生みながら。
普段ならばその様子に完全な信頼を持って見ていられるのに、今回ばかりは何故かそうあれない。
何か……何かが引っかかる。そう、昨夜だ。
自分が彼と相対する前に……
「っ、いけませんわ! お姉様、力を出し惜しみしないでください!」
思い出す。男は違法改造を施したスタンガンに顔色一つ変えなかったのだ。
406 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [] 2009/11/13(金) 17:08:06.38 ID:8Hi+om3F0 Be:
________
_ ´::::::::::::::::::::二二ヽ:::::\__
,. ´::::::::::::::::二二ニ丶::::::::::::::::::::\ ア
/::ニ:::::::::::::::二二ニニ丶:::::::::::::::::::::::::ヽ ン
///::::::::::一=ニニ:::::::::::::::::::::::::::::\:::::ハ つ タ
/::/:::::::::―一=ニニ::::::::::::::::::::、::::ヽ::::::::!::::::| え
_,/::::::ニ二:::::::::::::::::::二二ニ=::::::::::|:::::::|:::::::|::::八 |
/{:;:イ:X⌒ヾニ::::::::::=ニ二二::::::::|:::::!:::::::::::::::::::::::::ハ ん
/ィ/ /´ \、 ー====ニニ彡ヘ:::::::::::::::::::::::::::::\::::::} だ
{ 厶-――-、}} ,r=\::::::::\:::\:::::::!:::{ っ
,.-〃/ \、--、 ヽ / ヾミ、:::\:::ヽ::|::::} て
__,.-‐ァ′/.l{∧ ヾ弐ぅ } ,r==='′_,. -―― ヾ:::::::::::::.::/ ?
/ ,.イ `トヽ._  ̄`人、〃 /´ ̄ ̄ \ Y::::::::ハ、
./ /.:.| .ハ }} ̄ ̄,rテ^ヾニニ{ _,. -――', }:::::イニYハ--、
-‐'′ ./.:.:.:| / |__ルx=f´/ ノ '、 `ヾ弐ぅー;}r====ァ'´} {リ| '. ` ー-
./.:.:.:.:.! :{/´| ̄`}{ Y´ Y⌒ヽ \  ̄ ̄ノ / ノ/.:l '.
___ f:.:.:.:.:.:.\∨ ;;''´`;廴__ノ-一′ ` ̄ ̄ _,x≠x;ァ'´/ l:.:.:.! ヽ
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./ / } ,;;'´ ';, ';; ;//.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/.:.:/
VIP列島@とあるヤクザのスカーフェイス ーVIPPERで花山組を作るー
http://vipquality.sakura.ne.jp/town/start.htm
【初心者ガイド】http://vipquality.sakura.ne.jp/town/index.html
【紹介フラッシュ】http://vipquality.sakura.ne.jp/town/flash/viprettou.swf
407 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [sage] 2009/11/13(金) 17:20:44.36 ID:yIBRuh+CO Be:
バチン!
それは改造スタンガンなどでは到底出せぬだろう光量と火花と音をあげた一撃だった。
(ヤバっ……)
撃った本人ですからやりすぎたと感じる電力量。直前の一言のせいでかなりリミッターを外してしまった。
ほぼ雷と同等の一撃を加えたせいで恐らくは心臓を始めとするかなりの器官に負担がいっただろう。
「だいじょ……」
思わず声をかけようとした時、彼女の無意識下で放っている電磁センサーが高速で打ち込まれる打撃を感知する。
「っ?!」
緊急防御として寄せ集めた鉄の盾は、しかし打撃を止めることは出来ずにいる。
当たれば致命傷になるであろう一撃に、思わず目を瞑る。
「お姉様!」
その危機に当然のように黒子は飛び込むが、それより早く、
「ンなろー!!」
少年が彼女を抱えて横へと飛びさる。
413 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [sage] 2009/11/13(金) 18:49:28.43 ID:yIBRuh+CO Be:
「なっ!」
おい、何どさくさに紛れて好感度上げくさってやがるこの類人猿、と言いかけた台詞を引っ込め、
「そのままお姉様を連れて離れてくださいませ!」
そのまま指示を飛ばす。
わずかに迷った様子を見せるが、何かに気付いたのか一度下がってくれる。
それを確認し、改めて男の側を確認する。
寄せ集めとは言え鉄くずを集めた盾を殴った拳は痛々しい赤色に染まり、白のスーツは焦げつき煙と臭いをあげている。
それでも大地に踏ん張った四肢はいささかも力が抜けておらず、立ち上る覇気はより強まっている。
(化け物、ですわね)
ガーターに備えた鉄矢を、今回ばかりは傷つけてでも抑える覚悟で触れる。
向こうもそれを察してかこちらに意識を向ける。その瞬間、
「隙ありじゃんよ!」
防犯ブザーのけたたましい音と共にゲームの筐体が飛んできた。
428 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [sage] 2009/11/13(金) 21:08:14.41 ID:yIBRuh+CO Be:
合わせて行動、というよりは利用されたというべきか。しかしこちらの腕章を見て判断されたようにこちらも身のこなしから向こうがアンチスキルなのだと理解する。
それもかなりのやり手だ。あの怪物を止めるには確実に力を借りるべきだ。
素早く判断を下すと花山への攻撃に合わせるように“飛ぶ”。
鉄矢を飛ばし、回避の一歩を踏み出せないよう足の周りに配置する。非番ではあるが数はそれなりにある。
できるなら傷はつけたくないという思いと、その余裕からの判断だった。
しかし、巨大な凶器に対して避けるなどという選択肢のない男が相手だった。
電流に蝕まれた体力から崩れそうになる姿勢を無理矢理に維持し、受け止める。
殺しきれない衝撃が彼を襲うが、鉄矢が支えとなり耐えきる。
「そんな……!」
「甘いじゃんよ!」
驚きを隠せない黒子に対し、女教師は二の撃に入っている。
受け止めた筐体の陰。潜りこむように沈めた姿勢から新たな防犯ガラスで薙払う。
割れないそれは鈍い衝撃となり倒れることも動くことも難しい彼の体を打ちのめす。
432 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [sage] 2009/11/13(金) 21:23:14.02 ID:yIBRuh+CO Be:
「っ……!」
ここまでの立て続けのダメージに、声こそもらさないが身体の危険な域にあることは想像に難くない。
それでも倒れることなく受け止めていた筐体を振り下ろす。
勿論それをまともに受ける相手ではなかったが、
「浮い……っ!?」
足元の不自由さをほぼ溜めなしからのジャンプより胴回し回転蹴りを放ったのだ。
この巨大から鈍重だとどこかで決め付けていた彼女は、それを受けることになる。
「―――!」
衝撃から体を突き抜けた時には彼女の意識は吹き飛びかけている。
壁にノーバウンドでぶち当たり、崩れたところに花山の容赦ない追撃が向かう。が、勿論それをただ見ている訳にはいかないのが黒子だった。
「女を殴る趣味はないのでは?」
現れた瞬間、牽制の意味を込めて鉄矢を“飛ば”さず放る。
「……蹴っただけだ」
それをものともせず突っ込もうとする花山の足に痛みが走り足が止まる。
靴を突き破る形でそこに鉄矢が刺さっていた。
「もはや手を抜ける段階ではありませんので悪しからず」
「……」
止まった隙にアンチスキルらしき人物の元へ走り寄り意識を確認する。
435 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [sage] 2009/11/13(金) 21:35:34.07 ID:yIBRuh+CO Be:
「っ……、ぁ」
辛うじて意識は留めているが、ダメージは深刻だろう。出来るならば戦線には戻したくはないが、
……カラン
(無茶苦茶ですわ)
深く刺したはずの鉄矢をあっさりと指の力で引き抜いてしまう。あれだけの攻勢を受けて彼にはまだ底知れぬ何かがある。
「申し訳ありませんがまだ働いてもらあますわ」
普段、自分が使用しているきつけ薬を教師の口に含ませる。
(本来はお姉様とのお楽しみの際に使う予定でしたのよ。感謝していただかないと)
決定打に成り得る戦力の復活に賭けて、彼女は時間稼ぎの作戦に出る。
時間は少し遡る。
少年と少女は勿論逃げてなどいなかった。
437 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [sage] 2009/11/13(金) 21:42:52.30 ID:yIBRuh+CO Be:
「い、ったた」
少女は少年に抱きかかえられ横へと飛んだ際に二人して強く地面に叩きつけられていた。
そこから起き上がりすぐにでも戦線に復帰する予定だったのだが……。
「あー、重たいんでどいてくれると非常にありがたいんだが」
「なっ?! お、重たくないわよ! ていうかどこ触ってんのよ!」
「どこも触ってねぇだろ! つぅか重たいって!」
「うっさい、ばか!」
「のわっ?! だから待てって!」
「きゃっ?! また変なとこ触った!!」
「触ってねぇって! いいから早くその重たい体を」
「重くない!!」
一生やってろ。
441 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [sage] 2009/11/13(金) 21:58:51.36 ID:yIBRuh+CO Be:
初めて会った時。あれをカウントするならば既に三度目になる立ち会い。
それも徐々に血腥くなる一途を辿ったそれ。初めは戦術では圧倒。二度目はこちらの負け。では三度目ともなれば……。
花山は理解していた。彼はテレポートの原理は分からないが、その目はその瞬間以外をほとんど捉えていたからだ。
まず、飛ばすには重量の制限がある。少なくとも自分を体術以外で転がせない、または飛ばせない。
それだけでなく筐体を飛ばすことや、飛んできたそれを返したりはしていない。つまりは何らかの限界値が存在するのだ。
次にあの矢は触れた瞬間から“飛ぶ”。そして着弾点を決めてそこに対象がいれば相手の強度を問答無用にし攻撃が成立するのだ。
だが、それだけだ。あらかじめ着弾点を決める分、それを読み体を外してやれば当たりはしない。
先程の足に刺されたそれも牽制の投擲があって行動制御された結果だろう。
だから答えは簡単な事で、出来る限り矢に触れる瞬間を見逃さず先読みして常に動き回ればいい。
そう結論付け、花山は攻勢に出ていた。
(まずいですの……。このままでは)
相手がこれ程の短期間で自分の能力を理解したとしか思えない動きを見せている。もはや自分だけでは彼を止められなくなっているのだ。
446 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [sage] 2009/11/13(金) 22:10:43.95 ID:yIBRuh+CO Be:
「……、げほっ!」
身体の中から感じる熱で彼女の意識は完全に戻った。ただのガス抜きにしては随分としてやられたと思う。
ただ、あの子が求めていたのは恐らくこういった事。本当ならばそれがこんなにも愚かだと軽く制裁を加えて教えるつもりだった。
しかし相手が想像の何倍にも強くありすぎた為にこんなことになっている。無様でしかない。
思わずもらした失笑ですら身体が痛みを感じている。どうやら相当なダメージがあるようだ。
だが、動けない訳ではない。見ればジャッジメントの少女はだんだんと押されている。
「……まいったじゃんよ。動かなきゃいけなくなっちまうじゃん」
軋む身体に鞭打ち、一人の教師が戦場に戻る。
451 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [sage] 2009/11/13(金) 22:21:53.51 ID:yIBRuh+CO Be:
「……ようやくかい」
「!」
その声に振り向けばアンチスキルの彼女が再びどこからか剥ぎ取った防犯ガラスを構えている。
「待っててくれたって? 紳士じゃんよ」
「あんたから売られた喧嘩(ゴロ)だからな」
「なっ……」
ここにきて黒子は気付く。彼は最初から自分を相手にしていなかった。
そう、彼が見ていたのは今起き上がってきた彼女であり、そして反撃してみせた相手ばかり。
自分へは攻撃があったかと言われれば、形ばかりで……。
(……屈辱、ですの)
だが既に実力差を見せつけられた事は確かだ。もし彼が本気で自分と相対していたのなら。そう考えると寒気が走る。
455 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [sage] 2009/11/13(金) 22:40:48.41 ID:yIBRuh+CO Be:
一瞬の静寂。そして次の瞬間飛び出す両者。
体格が劣る分、初速で勝った女教師は構えた盾を前に突き出す形でチャージ。
成人であれ女性では出せぬであろう衝撃で真正面からぶち当たった。
(手応えはあり)
でも、と呟く。
(冗談きついじゃんよ)
上から迫る巨人の鉄槌はいささかも褪せていない。
なりふり構わなかった一撃の後だ。防御など考えていなかった為、死んだっておかしくない。
(ま、でも全力出しての結果だから仕方ないじゃんよ)
ふ、と目を瞑り来るべき時に備えた。
だがいつまでも訪れぬその時にふと目を開ければ……。
488 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [sage] 2009/11/14(土) 01:43:50.89 ID:Gx88mCbaO Be:
「ったく。ギリギリセーフってとこね」
立ち上る煙は濃い。
「今度はもっと“手加減しなかった”から」
最後の一撃を放ったのは“超能力者(レベル5)”である少女。
的確に花山だけを撃ち貫いた雷は人間相手に放っていい力ではなかった。
だが、今まさに殴りかからんとする形で留まった彼の姿には生気が微かに残る。
彼は、生きていた。
「……はは、こんなんじゃこの後に説教くれてやれないじゃんよ」
そう呟き、同時に教師ももたれかかるようにして意識を手放す。
一連の騒動はこうして決着がついたのだった。
491 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [sage] 2009/11/14(土) 01:55:11.93 ID:Gx88mCbaO Be:
「お、おい。殺してないよな」
「見てわかるでしょ。殺しても死ぬタマじゃないわよ。あんたと一緒でね」
「一緒にすんな! 俺は健全な一般市民だ!」
「その一般市民が私に勝てる訳ないって言ってんでしょ! あー、もう、いいから食らえ!」
「どわっ?! やめろビリビリ!」
「ビリビリ言うな!」
そんな二人のやり取りが続く中、一人何も言えずにいた少女もいた。
(私は……“一般市民”なお姉様より、役立てなかった)
ジャッジメントとして。大能力者(レベル4)として。何より彼と一番相対した人間として悔しかった。
確かにレベル5との確固たる差はある。ジャッジメントだから万能という訳でもない。
しかし初めて会った時からそうだ。何故か彼を相手にすると自分が矮小なものに感じられてしまう。
これだけは、何の言い訳もできない。
「……私は」
誰にも見せたくないその心模様。
自身を抱く腕にきつく爪が食い込んだ。
490 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [] 2009/11/14(土) 01:51:41.17 ID:pMC7pkuuO Be:
止められたのか…?
しかし、無能力者でここまでやれる花山はやっぱカッコいいなぁ
473 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [] 2009/11/14(土) 00:20:45.00 ID:cAaBQRnk0 Be:
バキは知ってるけどレールガン知らない
黒子とやらの能力を説明してくれ
476 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [] 2009/11/14(土) 00:44:35.70 ID:ZLGKTZAlO Be:
>>473
自分の触れた物をテレポートさせる能力。
しかしその能力には限界があって、重さは130kgまで、距離は80m程が精一杯
つまり花山さんはもっと体重有りそうなので転移は無理
…でok?
480 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [] 2009/11/14(土) 00:56:27.46 ID:bcn6+rKW0 Be:
>>476に補足
転移させるには11次元ベクトルを使った複雑な計算が必要なので、集中力が乱れると上手く使えない
ちょっとした痛みでも計算を邪魔されるだけで能力が封じられる
転移させた物体は元々そこにあったものを押しのける性質があるから、槍を体内に転移させたりすればまさしく貫けないものはない最強の矛になる
ガラスや紙などを転移させてなんでも切り裂く刃にしたり強固な金庫などを破れたりと応用はかなり効く能力
482 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [] 2009/11/14(土) 00:58:29.54 ID:phLx/pkhO Be:
>>480
そうだったの?
そこまで出来るならレベル5並じゃね?
483 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [] 2009/11/14(土) 01:15:51.57 ID:PWUB61rUO Be:
>>482
座標移動?とかいうのがレベル4にいてな…
495 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [] 2009/11/14(土) 02:40:53.92 ID:bcn6+rKW0 Be:
>>482
レベル5は圧倒的
1位~3位は物理的に反則、5位も戦術的に反則、7位は色々反則
この生活感のない部屋に戻るときは大体が身だしなみを整える時だけだった。身体や心を休める必要がないような日々だっただけに、それで十分。
組の運営や、余所との折衝。そして多くの繋がりに対する責任と行動。それらが自分の手の届かない場所で行われるという不安だけが、唯一の心配ではあった。
しかし結局は何も出来ないという事実のみが返ってくる。表面上、何の揺らぎも感じられない彼だがそんな弱さもあったのだ。
「……」
だが、今は少し違う。濃密な時間が先まであった。死線には遠いが、今まで知らなかった高みがあった。
それを思い出すだけで、様々なしがらみを一時ではあるが忘れられる。拳が、魂が疼くのだ。
「……学園、都市」
ここで自分はどこまで通じるのだろう。男として、雄として。彼もまた強者であるが故の衝動。
それが沸々と彼の中で渦巻いては内側から暴れていたのだ。
「……」
軽くシャワーを浴び、新たなスーツを始め彼なりの正装を整える。
さぁ、行こう。場所なんてどこでもいい。この学園都市ならば。
「……」
いや、と一つ指針を決めることにする。昨日は少ししか味わえなかった酒を満足いくまで飲む。
彼はそれだけを決めると繁華街へと足を進めるのだった。
311 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [sage] 2009/11/12(木) 18:35:24.10 ID:OLVWLMfCO Be:
朝。そう呼ぶには少し遅く、昼というには少し早い時間帯。
花山は適当に買い漁った食料を腹に納めながらいくつか考えていた。
この学園都市という場所はあまりに広く、全てを把握など出来そうもない。だがいくつか法則性は見て取れる。
要は学生達が生活の中心とするあたりは必然的に賑わいを見せ、表の通りが大きくなる。そしてそれは同時に光が増す度に大きくなる影と同じで裏を育てる。
昨日、彼が酒を手に入れたのは第六学区と呼ばれるアミューズメントが発達した区画だ。他にアテもない以上、あのあたりにもう一度足を向けることにする。
彼の近くを通る学生達はその風体と食事量からただ者ではないと分かってか、彼を避けるように歩く。
だが、そんな中。彼と一定の距離を保つ人間がいることに気付いていた人物はほとんどいなかった。
314 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [sage] 2009/11/12(木) 18:53:21.45 ID:OLVWLMfCO Be:
「はぁ……」
白井黒子は疲れていた。疲れた体に鞭をうち、昨夜の一件を報告書としてまとめ提出。更にギリギリまでデータの洗い直しをしていた為に完全に朝帰りだ。
その上で寮長からは門限に関して連絡不十分とされかなりしぼられるという責め苦を味わう。
そこに憧れのお姉様から、
『昨日はあんたも大変だったみたいね。聞いたわよ、男のとこ行ってたんだって?』
なんてトドメを刺された日にはぐぅの音も出ない。恐らく情報ソースである初春には何らかの制裁を加えることを心に決めたところで完全にダウンしていた。
「何、黒子。あんた昨日から変よ」
「……変ではありませんのよ」
「あっそ。ま、何があったか知らないけど、あんたが元気ないとこっちまで調子狂うのよね。早く復帰してよ?」
その言葉に黒子の脳内では激しく変換が行われる。
お姉様は私がいないと調子が狂う→お姉様には私が必要→お姉様は私が欲しい→お姉様は私の愛が必要!!
この間、コンマ数秒の閃きで彼女の体が消えると次の瞬間にはお姉様に飛び付いていた。
「お姉様の想い、受け取りましたわ!!」
「ちょ、な、何あんた! 演技だったわけ!? こら、離れな……さいっ!!」
バチン、とひどく痛々しい感電音がした。と、たまたま通りがかった隣室の生徒は後に語っている。
320 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [sage] 2009/11/12(木) 19:25:59.79 ID:OLVWLMfCO Be:
パチパチと未だ体に残る電流に体を震わせつつ、黒子はお姉様を見上げる。
「お、姉様、今日のご、予定、は、?」
「本当ならこの前あんたに誘われてた買い物、こっちの都合でドタキャンしたからそれの埋め合わせとか考えてたけどいらないわよね」
「!?」
ガバッと起き上がる黒子。その目には爛々と喜びの光が。
「本当ですの!?」
「まぁね。けどなんか疲れてるみたいだしまた今度に……」
「平気ですわ!」
疲れなどという概念を忘れ、嬉しさが那由多の彼方まで高まってくる。
「さぁ行きましょう! すぐ行きましょう! ああ、巡るめくパライソですわぁ!」
「や、あんた。放課後からに決まって……」
「そんなもの、愛の前には不要ですの! という訳でぶっちで満喫デートですわ!」
321 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [sage] 2009/11/12(木) 19:27:37.19 ID:OLVWLMfCO Be:
そんなるんるん気分な彼女に、当然のように、
「ほぅ、不登校か」
「ええ、当ぜ……」
「「……」」
「寮長?!」
「どうやらまだしぼられ足りなかったようだな。もう少し話をしようか」
「ひィい!?」
天罰かと言わんばかりの結果が待ち受けていた。
「じゃ、先行くから」
「お、お姉様の裏切り者ぉ~!」
こちらはこちらで平和だった。
336 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [sage] 2009/11/12(木) 21:36:23.91 ID:OLVWLMfCO Be:
「ぅ~、ここでもないですね」
何軒ものアミューズメントパークをハシゴしていた月詠小萌は疲労を隠せないでいた。昼間こそ良かったが、時刻が夕方に近付くにつれ否が応でも人は増える。
聞き込みが出来る人数こそ増えてきたのはメリットにあたるが、自分の背丈がない為か奥まで見通しがきかないのはかなりマイナスだ。
「べ、別にこれくらいはハンデにならないわけですよ! 先生まだまだ元気です!」
と、奮起した瞬間、
「きゃー、可愛いー!」
「ふぇ?」
「ねぇねぇ、一人? 一人なの?」
「迷子かなぁ。よーし、お姉さんたちに任せときなさい!」
「あ、ちょ、ちょっと! 先生は迷子じゃないですよっ。ちょ、だから話を……ふやぁぁあ?!」
こうして連れて行かれた数分後に目的の人物がそこに現れることになるなど、勿論知るはずもなかった。
338 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [sage] 2009/11/12(木) 21:49:15.08 ID:OLVWLMfCO Be:
「……」
やはり相容れない。そう感じるのは花山本人もだった。
アミューズメント施設を何軒か周り、そこにいる浮いた存在達を探してみたがどれも不良と呼ばれる程度の人間ばかりだ。
こいつらからは自分の望むものは得られない。そう見切りをつけては移動を繰り返してきたが、こうも収穫がないとさすがに辟易してくる。
特に前日のような濃密な時間のあとなら特に、だ。勿論それを表面に出す彼ではなかったが。
「おわっ」
だが集中力が途切れていたのか誰かにぶつかってしまう。
「……」
「痛て、……すみませんっした」
それだけを告げ、相手はそそくさとその場を立ち去ろうとする。が、その肩に大きな手が添えられる。
「ぁ……あら? その、何すか? もしかして気に障ったとか?」
「……」
「だったらいくらでも謝りますんで、ここは一つ穏便に……」
そう、腰の低い態度で後ずさろうとする男。しかし花山は見逃がす様子はない。
この状況になってさすがに周りもざわめきだしていた。
341 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [sage] 2009/11/12(木) 22:21:28.57 ID:OLVWLMfCO Be:
「……」
ずい、と差し出される手は明らかに何かを要求するもの。あたりを囲む人垣は恐喝の現場だと判断するや他人ごとを決め込む。
穏やかではない雰囲気に少年はだんだんと焦りだす。
「あ、あのさ! 別に何も汚したりとかじゃないはずだ……ですよね!? なのにそんな、理不尽な……っ」
少年がどんなに弁明し、詫びを入れても男は動かない。空気的にいよいよか、と思われたその時、
「ちょっとあんた」
人垣の中から一人の少女が進み出る。その姿は常盤台と呼ばれるお嬢様学校の制服に身を包んでいる。
「ここは公共の場なんだから、あんまりもめ事は持ち込まないでよね」
だが纏う空気はお嬢様というには程遠い、勝ち気なものだ。
343 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [sage] 2009/11/12(木) 22:32:47.15 ID:iQK1XXE60 Be:
支援ッッッッ
344 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [] 2009/11/12(木) 22:33:42.88 ID:OnW+EIx6O Be:
上条×美琴ktkr
347 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [] 2009/11/12(木) 22:51:54.47 ID:hr8X8UZGO Be:
これはテンションアガル
348 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [sage] 2009/11/12(木) 23:01:04.90 ID:OLVWLMfCO Be:
「おわ! ビリビリかよ!」
「ビリビリ言うな!」
二人は知り合いなのか、ギャーギャーと言い合いを始める。そんな中、一人沈黙していた花山が初めて口を開く。
「……それ、返してくれるか?」
「へ?」
ここにきて少年は初めて何かを誤解していた事に気づく。ふと見やれば自分のポケットのあたりに見覚えのない財布がある。
「あ。ああああ?! ち、違うっす違うっす! スリとかするつもりじゃなくて!」
何やら不幸なことにこんな事態になっていたようだが、彼に悪気はないことはわかる。
だからこそ、返すものさえ返してもらえれば何も起こらないはずだった。
そう、はずだった。
「ちょっとそこの。がっこも行かずカツアゲなんて札付きじゃんよ」
現れた新しい人影はジャージの下にダイナマイト級のスタイルを備えた一人の教員だった。
375 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [sage] 2009/11/13(金) 07:11:34.21 ID:yIBRuh+CO Be:
今やアミューズメント施設内における人物間で何が起きるのか予想がつかない状況。そんな煮詰まった空気を破ったのはジャージ姿の教員だ。
「とにかくさ。離してやんなって言ってんじゃんよ」
すたすたと他に目をくれず花山の元へと移動する。そこには怯えや遠慮、そして余計な感情はない。
彼女のうちにあるのは、ただただ生徒に対する指導の心だけ。
「……」
それに対する花山の態度もまた堂々としたものだった。自身に非がない以上、彼が引く必要はない。
ただ真っ直ぐに相手を見据え、その手を離すことはない。
「いい度胸してんじゃんよ。さすが新入りってとこかね。まぁガタイがいいから力は有り余ってるだろうし……」
こきり、と一つ首を鳴らすと、
「少しくらいガス抜きしてやるじゃんよ」
見事な初速で彼の足を右からの蹴りが捉えた。
(まずっ……!)
その様子を見ていた黒子は思わず目を覆いたくなる。あの相手の尋常ではない固さを思い出していたからだ。
それをあんな速度で蹴り抜けば……想像しただけで痛みがぶり返すようだ。
その場にいた誰しもが少なくとも黒子ほど実感を伴わないにしろ、同じような感覚にあった。
しかし……実際に痛みを味わったのは花山の方であった。
377 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [sage] 2009/11/13(金) 07:21:03.49 ID:yIBRuh+CO Be:
「……?」
それは不思議な感覚だった。一瞬前までは見下ろす形だった相手の姿が今は自分と同じ高さになっている。
それが自分が膝をついたのだという事実によるものだと痛みにより気づかされた時、彼の中では一気に闘志が溢れ出さんとしていた。
「もっかいだけ言うじゃんよ。その手を離……」
言葉はそこで遮られる。花山による平手打ちが彼女の体を打ったからだ。
真横に。比喩でもなんでもなく、事実として飛んだ教師はクレーンゲームの筐体に体をぶつけ、肺の中の空気を全て吐き出す結果になる。
「……なっ」
目の前で起こった暴力というには行き過ぎた事態に思わず呆然とする少年。
「な、……ちょっと、ちょっと!!」
吹き飛んだ教員を見てその元凶につかみかからんとする少女。
そして……
(やはり、こうなりましたのね)
既に臨戦態勢に入った黒子。その三人以外はこの事態に、
『きゃぁぁああー!』
一気に逃げ惑った。
392 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [] 2009/11/13(金) 13:21:05.22 ID:A+Fd9/EtO Be:
ほ
393 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [] 2009/11/13(金) 14:05:58.70 ID:t8zlNjLUO Be:
し
394 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [] 2009/11/13(金) 14:25:12.37 ID:KTzmwKkAO Be:
ゅ
395 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [] 2009/11/13(金) 14:36:39.69 ID:Qgwr65dsO Be:
で
396 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [] 2009/11/13(金) 15:13:28.39 ID:7u12c37TO Be:
す
397 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [] 2009/11/13(金) 15:25:46.20 ID:G1Of0e8VO Be:
の
399 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [sage] 2009/11/13(金) 16:02:29.61 ID:yIBRuh+CO Be:
「っ、あ~。やっぱたまってんじゃんよ。いったぁ」
様々な反応を見せる面々よりも彼は今一番差し迫った危険を全面の女に向ける。あれだけ痛打されながらもダメージを感じさせない声。
そして衝撃でフレームから外れた筐体の防犯ガラスを持ち上げ、不敵に笑うそのたち姿。
それは彼が“仕事”の折に何度か遭遇したことのある闘士達のそれに酷似していたからだ。
「……ふっ」
その中でも稀にしか出会えぬ本物。否が応でも高ぶってくる。
「先に手出ししたのはこっちだから文句はないじゃんよ。けどそれなりに指導理由はあるから……こっからじゃん?」
どんどんと高まる熱気が沸点に到達しようかというその時。対峙する間に二人の人間が滑り込む。
「待ちなさいっての!」
「誤解だ誤解! 非があるとしたらこっちにあんだよ!」
互いに背中を合わせた格好で超能力者と無能力者が介入した。
401 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [sage] 2009/11/13(金) 16:15:05.21 ID:yIBRuh+CO Be:
「ほら、これだろ! 返すから、もうやめとけって!」
多少乱暴な手つきではあったが、今回の元凶になった財布を渡す少年。しかしそれを受けとる様子はなくただ前を見据えている。
「おーおー、先生庇われちゃってんじゃんよ。まいったね、どうも」
「だから違うって! つぅかこんな高そうなのが俺の財布な訳ねぇんだし!」
「そうね。間違いないわ」
「即肯定かよ、おい」
放っておけばいつまでも続けそうな二人の間を抜け、教師は近付く。
「ってか、色々誤解があったとして、だからはいやめます。なんてタマじゃないじゃんよ、こいつは」
「……」
防犯ガラスの盾を構え、
「ガス抜き、相手してやんじゃんよ」
くい、と指で相手を招く。
瞬間、鈍い破砕音と共に再び教師の体が飛んだ。
402 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [sage] 2009/11/13(金) 16:28:15.26 ID:yIBRuh+CO Be:
がしゃん、と大きな音が鳴り、防犯ブザーが不協和音となり店内に響く。
それでも彼女はゆっくりと起き上がってくる。
「くそ、やめろっつってんだろ!?」
その様子に耐えかねたか、少年は花山に殴りかかる。それに合わせる形でカウンターの攻撃が入りかけるが、
「全く、世話をやかせないでくださいまし」
それは黒子によって突き飛ばされることにより少し離れた場所へ回避することになる。
「どわ?!」
結果、思い切りアーケードゲームの筐体に突っ込みダメージをおうことになるが。
「……あのバカ」
「それから」
無様に転ぶ少年に呆れながらバリバリと帯電する少女に、
「お姉様も一般人なのですから無理に介入なさらないでくださいな」
彼女の身を案じ、下がるよう促す。
が、勿論今時珍しい“自分より強い奴に会いに行く”なんてゲームでも滅多に見なくなった主義の少女が退くはずもない。
「はいはい。どうせ一般人よ、私は。でもこういうのって一応私向きだと思うんだけど?」
彼女の能力の応用幅を考えれば確かに頷ける話ではある。一般的な相手であるならば、だが。
404 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [sage] 2009/11/13(金) 16:41:12.19 ID:yIBRuh+CO Be:
「それは……」
確かにそうだ。だが黒子は思う。きっと彼女は何か認識がズレているのではないか、と。
仮に彼女が相手を倒すではなく、相手を殺すつもりで最初から全力ならば何ら心配はしない。
だがもし彼女がただ相手を征するだけの、格下を相手にするつもりな戦い方をするならば……。
昨日の自分を思い出し、黒子を嫌な予感が駆け巡る。
「ま、お気に入りのゲーセンをこれ以上荒らされても困るし、ね。せー、っの!」
決めたが瞬間、彼女は花山に向けて走る。その両手に大の大人が一撃で沈むほどの電流を生みながら。
普段ならばその様子に完全な信頼を持って見ていられるのに、今回ばかりは何故かそうあれない。
何か……何かが引っかかる。そう、昨夜だ。
自分が彼と相対する前に……
「っ、いけませんわ! お姉様、力を出し惜しみしないでください!」
思い出す。男は違法改造を施したスタンガンに顔色一つ変えなかったのだ。
406 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [] 2009/11/13(金) 17:08:06.38 ID:8Hi+om3F0 Be:
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{ 厶-――-、}} ,r=\::::::::\:::\:::::::!:::{ っ
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/ ,.イ `トヽ._  ̄`人、〃 /´ ̄ ̄ \ Y::::::::ハ、
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VIP列島@とあるヤクザのスカーフェイス ーVIPPERで花山組を作るー
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407 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [sage] 2009/11/13(金) 17:20:44.36 ID:yIBRuh+CO Be:
バチン!
それは改造スタンガンなどでは到底出せぬだろう光量と火花と音をあげた一撃だった。
(ヤバっ……)
撃った本人ですからやりすぎたと感じる電力量。直前の一言のせいでかなりリミッターを外してしまった。
ほぼ雷と同等の一撃を加えたせいで恐らくは心臓を始めとするかなりの器官に負担がいっただろう。
「だいじょ……」
思わず声をかけようとした時、彼女の無意識下で放っている電磁センサーが高速で打ち込まれる打撃を感知する。
「っ?!」
緊急防御として寄せ集めた鉄の盾は、しかし打撃を止めることは出来ずにいる。
当たれば致命傷になるであろう一撃に、思わず目を瞑る。
「お姉様!」
その危機に当然のように黒子は飛び込むが、それより早く、
「ンなろー!!」
少年が彼女を抱えて横へと飛びさる。
413 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [sage] 2009/11/13(金) 18:49:28.43 ID:yIBRuh+CO Be:
「なっ!」
おい、何どさくさに紛れて好感度上げくさってやがるこの類人猿、と言いかけた台詞を引っ込め、
「そのままお姉様を連れて離れてくださいませ!」
そのまま指示を飛ばす。
わずかに迷った様子を見せるが、何かに気付いたのか一度下がってくれる。
それを確認し、改めて男の側を確認する。
寄せ集めとは言え鉄くずを集めた盾を殴った拳は痛々しい赤色に染まり、白のスーツは焦げつき煙と臭いをあげている。
それでも大地に踏ん張った四肢はいささかも力が抜けておらず、立ち上る覇気はより強まっている。
(化け物、ですわね)
ガーターに備えた鉄矢を、今回ばかりは傷つけてでも抑える覚悟で触れる。
向こうもそれを察してかこちらに意識を向ける。その瞬間、
「隙ありじゃんよ!」
防犯ブザーのけたたましい音と共にゲームの筐体が飛んできた。
428 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [sage] 2009/11/13(金) 21:08:14.41 ID:yIBRuh+CO Be:
合わせて行動、というよりは利用されたというべきか。しかしこちらの腕章を見て判断されたようにこちらも身のこなしから向こうがアンチスキルなのだと理解する。
それもかなりのやり手だ。あの怪物を止めるには確実に力を借りるべきだ。
素早く判断を下すと花山への攻撃に合わせるように“飛ぶ”。
鉄矢を飛ばし、回避の一歩を踏み出せないよう足の周りに配置する。非番ではあるが数はそれなりにある。
できるなら傷はつけたくないという思いと、その余裕からの判断だった。
しかし、巨大な凶器に対して避けるなどという選択肢のない男が相手だった。
電流に蝕まれた体力から崩れそうになる姿勢を無理矢理に維持し、受け止める。
殺しきれない衝撃が彼を襲うが、鉄矢が支えとなり耐えきる。
「そんな……!」
「甘いじゃんよ!」
驚きを隠せない黒子に対し、女教師は二の撃に入っている。
受け止めた筐体の陰。潜りこむように沈めた姿勢から新たな防犯ガラスで薙払う。
割れないそれは鈍い衝撃となり倒れることも動くことも難しい彼の体を打ちのめす。
432 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [sage] 2009/11/13(金) 21:23:14.02 ID:yIBRuh+CO Be:
「っ……!」
ここまでの立て続けのダメージに、声こそもらさないが身体の危険な域にあることは想像に難くない。
それでも倒れることなく受け止めていた筐体を振り下ろす。
勿論それをまともに受ける相手ではなかったが、
「浮い……っ!?」
足元の不自由さをほぼ溜めなしからのジャンプより胴回し回転蹴りを放ったのだ。
この巨大から鈍重だとどこかで決め付けていた彼女は、それを受けることになる。
「―――!」
衝撃から体を突き抜けた時には彼女の意識は吹き飛びかけている。
壁にノーバウンドでぶち当たり、崩れたところに花山の容赦ない追撃が向かう。が、勿論それをただ見ている訳にはいかないのが黒子だった。
「女を殴る趣味はないのでは?」
現れた瞬間、牽制の意味を込めて鉄矢を“飛ば”さず放る。
「……蹴っただけだ」
それをものともせず突っ込もうとする花山の足に痛みが走り足が止まる。
靴を突き破る形でそこに鉄矢が刺さっていた。
「もはや手を抜ける段階ではありませんので悪しからず」
「……」
止まった隙にアンチスキルらしき人物の元へ走り寄り意識を確認する。
435 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [sage] 2009/11/13(金) 21:35:34.07 ID:yIBRuh+CO Be:
「っ……、ぁ」
辛うじて意識は留めているが、ダメージは深刻だろう。出来るならば戦線には戻したくはないが、
……カラン
(無茶苦茶ですわ)
深く刺したはずの鉄矢をあっさりと指の力で引き抜いてしまう。あれだけの攻勢を受けて彼にはまだ底知れぬ何かがある。
「申し訳ありませんがまだ働いてもらあますわ」
普段、自分が使用しているきつけ薬を教師の口に含ませる。
(本来はお姉様とのお楽しみの際に使う予定でしたのよ。感謝していただかないと)
決定打に成り得る戦力の復活に賭けて、彼女は時間稼ぎの作戦に出る。
時間は少し遡る。
少年と少女は勿論逃げてなどいなかった。
437 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [sage] 2009/11/13(金) 21:42:52.30 ID:yIBRuh+CO Be:
「い、ったた」
少女は少年に抱きかかえられ横へと飛んだ際に二人して強く地面に叩きつけられていた。
そこから起き上がりすぐにでも戦線に復帰する予定だったのだが……。
「あー、重たいんでどいてくれると非常にありがたいんだが」
「なっ?! お、重たくないわよ! ていうかどこ触ってんのよ!」
「どこも触ってねぇだろ! つぅか重たいって!」
「うっさい、ばか!」
「のわっ?! だから待てって!」
「きゃっ?! また変なとこ触った!!」
「触ってねぇって! いいから早くその重たい体を」
「重くない!!」
一生やってろ。
441 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [sage] 2009/11/13(金) 21:58:51.36 ID:yIBRuh+CO Be:
初めて会った時。あれをカウントするならば既に三度目になる立ち会い。
それも徐々に血腥くなる一途を辿ったそれ。初めは戦術では圧倒。二度目はこちらの負け。では三度目ともなれば……。
花山は理解していた。彼はテレポートの原理は分からないが、その目はその瞬間以外をほとんど捉えていたからだ。
まず、飛ばすには重量の制限がある。少なくとも自分を体術以外で転がせない、または飛ばせない。
それだけでなく筐体を飛ばすことや、飛んできたそれを返したりはしていない。つまりは何らかの限界値が存在するのだ。
次にあの矢は触れた瞬間から“飛ぶ”。そして着弾点を決めてそこに対象がいれば相手の強度を問答無用にし攻撃が成立するのだ。
だが、それだけだ。あらかじめ着弾点を決める分、それを読み体を外してやれば当たりはしない。
先程の足に刺されたそれも牽制の投擲があって行動制御された結果だろう。
だから答えは簡単な事で、出来る限り矢に触れる瞬間を見逃さず先読みして常に動き回ればいい。
そう結論付け、花山は攻勢に出ていた。
(まずいですの……。このままでは)
相手がこれ程の短期間で自分の能力を理解したとしか思えない動きを見せている。もはや自分だけでは彼を止められなくなっているのだ。
446 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [sage] 2009/11/13(金) 22:10:43.95 ID:yIBRuh+CO Be:
「……、げほっ!」
身体の中から感じる熱で彼女の意識は完全に戻った。ただのガス抜きにしては随分としてやられたと思う。
ただ、あの子が求めていたのは恐らくこういった事。本当ならばそれがこんなにも愚かだと軽く制裁を加えて教えるつもりだった。
しかし相手が想像の何倍にも強くありすぎた為にこんなことになっている。無様でしかない。
思わずもらした失笑ですら身体が痛みを感じている。どうやら相当なダメージがあるようだ。
だが、動けない訳ではない。見ればジャッジメントの少女はだんだんと押されている。
「……まいったじゃんよ。動かなきゃいけなくなっちまうじゃん」
軋む身体に鞭打ち、一人の教師が戦場に戻る。
451 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [sage] 2009/11/13(金) 22:21:53.51 ID:yIBRuh+CO Be:
「……ようやくかい」
「!」
その声に振り向けばアンチスキルの彼女が再びどこからか剥ぎ取った防犯ガラスを構えている。
「待っててくれたって? 紳士じゃんよ」
「あんたから売られた喧嘩(ゴロ)だからな」
「なっ……」
ここにきて黒子は気付く。彼は最初から自分を相手にしていなかった。
そう、彼が見ていたのは今起き上がってきた彼女であり、そして反撃してみせた相手ばかり。
自分へは攻撃があったかと言われれば、形ばかりで……。
(……屈辱、ですの)
だが既に実力差を見せつけられた事は確かだ。もし彼が本気で自分と相対していたのなら。そう考えると寒気が走る。
455 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [sage] 2009/11/13(金) 22:40:48.41 ID:yIBRuh+CO Be:
一瞬の静寂。そして次の瞬間飛び出す両者。
体格が劣る分、初速で勝った女教師は構えた盾を前に突き出す形でチャージ。
成人であれ女性では出せぬであろう衝撃で真正面からぶち当たった。
(手応えはあり)
でも、と呟く。
(冗談きついじゃんよ)
上から迫る巨人の鉄槌はいささかも褪せていない。
なりふり構わなかった一撃の後だ。防御など考えていなかった為、死んだっておかしくない。
(ま、でも全力出しての結果だから仕方ないじゃんよ)
ふ、と目を瞑り来るべき時に備えた。
だがいつまでも訪れぬその時にふと目を開ければ……。
488 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [sage] 2009/11/14(土) 01:43:50.89 ID:Gx88mCbaO Be:
「ったく。ギリギリセーフってとこね」
立ち上る煙は濃い。
「今度はもっと“手加減しなかった”から」
最後の一撃を放ったのは“超能力者(レベル5)”である少女。
的確に花山だけを撃ち貫いた雷は人間相手に放っていい力ではなかった。
だが、今まさに殴りかからんとする形で留まった彼の姿には生気が微かに残る。
彼は、生きていた。
「……はは、こんなんじゃこの後に説教くれてやれないじゃんよ」
そう呟き、同時に教師ももたれかかるようにして意識を手放す。
一連の騒動はこうして決着がついたのだった。
491 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [sage] 2009/11/14(土) 01:55:11.93 ID:Gx88mCbaO Be:
「お、おい。殺してないよな」
「見てわかるでしょ。殺しても死ぬタマじゃないわよ。あんたと一緒でね」
「一緒にすんな! 俺は健全な一般市民だ!」
「その一般市民が私に勝てる訳ないって言ってんでしょ! あー、もう、いいから食らえ!」
「どわっ?! やめろビリビリ!」
「ビリビリ言うな!」
そんな二人のやり取りが続く中、一人何も言えずにいた少女もいた。
(私は……“一般市民”なお姉様より、役立てなかった)
ジャッジメントとして。大能力者(レベル4)として。何より彼と一番相対した人間として悔しかった。
確かにレベル5との確固たる差はある。ジャッジメントだから万能という訳でもない。
しかし初めて会った時からそうだ。何故か彼を相手にすると自分が矮小なものに感じられてしまう。
これだけは、何の言い訳もできない。
「……私は」
誰にも見せたくないその心模様。
自身を抱く腕にきつく爪が食い込んだ。
490 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [] 2009/11/14(土) 01:51:41.17 ID:pMC7pkuuO Be:
止められたのか…?
しかし、無能力者でここまでやれる花山はやっぱカッコいいなぁ
473 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [] 2009/11/14(土) 00:20:45.00 ID:cAaBQRnk0 Be:
バキは知ってるけどレールガン知らない
黒子とやらの能力を説明してくれ
476 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [] 2009/11/14(土) 00:44:35.70 ID:ZLGKTZAlO Be:
>>473
自分の触れた物をテレポートさせる能力。
しかしその能力には限界があって、重さは130kgまで、距離は80m程が精一杯
つまり花山さんはもっと体重有りそうなので転移は無理
…でok?
480 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [] 2009/11/14(土) 00:56:27.46 ID:bcn6+rKW0 Be:
>>476に補足
転移させるには11次元ベクトルを使った複雑な計算が必要なので、集中力が乱れると上手く使えない
ちょっとした痛みでも計算を邪魔されるだけで能力が封じられる
転移させた物体は元々そこにあったものを押しのける性質があるから、槍を体内に転移させたりすればまさしく貫けないものはない最強の矛になる
ガラスや紙などを転移させてなんでも切り裂く刃にしたり強固な金庫などを破れたりと応用はかなり効く能力
482 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [] 2009/11/14(土) 00:58:29.54 ID:phLx/pkhO Be:
>>480
そうだったの?
そこまで出来るならレベル5並じゃね?
483 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [] 2009/11/14(土) 01:15:51.57 ID:PWUB61rUO Be:
>>482
座標移動?とかいうのがレベル4にいてな…
495 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [] 2009/11/14(土) 02:40:53.92 ID:bcn6+rKW0 Be:
>>482
レベル5は圧倒的
1位~3位は物理的に反則、5位も戦術的に反則、7位は色々反則
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